父の話

私の父は話が上手い。
話術に長けていて、人の懐に入り込むのを得意とする。
また、語るに足るエピソードもたくさん持っているのでネタにも困らない。

今日は、そんな父の話の中から1つ、私の好きなエピソードをピックアップしよう。

*****

父はホームセンターが好きで、よく行く。
私もいろんな機械や道具が好きなので、今でもよくついていく。

ある日、父は何か用があってホームセンターに立ち寄ったらしい。
そこで、「訳アリ品!長靴特価!!」というコーナーで立ち止まった。

父は小さいながらも一企業の社長なので、お金はたくさん持っている。
が、なぜかこういう特売品に弱く、必要なくても買ってしまうらしい。
どういう心理なのだろうか。
コンビニでサンドイッチを買うときも、本当は照り焼きチキンの入った奴が食べたいけど我慢して卵だけの安いやつにするらしい。
知らんしそんなこだわり。

このときも、「ちょうど長靴が無かったから」という理由でその訳アリ長靴を買って帰ったようだ。
しかしこれが思わぬ自体を招く。

家に帰って長靴を履いてみた父は何か違和感を感じたらしい。
訳アリ品だからどこかに不良があるのは間違いないが、それにしてもおかしい。
一旦長靴を脱ぎ、よく観察してみると、

どちらも右足用だった。

どんな訳アリ品だよ。

思うのだが、これははっきり言って詐欺ではないだろうか。
訳アリの域を超えている気がする。
それはせいぜい傷があるとか、形が不格好であるとか、つまり「使用には差し支えない」レベルを差すのではないだろうか。

普通の人ならキレて店にクレームをつけるだろうが、父はこれを自分の鉄板ネタにした。
一回取引先の人に話したら号泣しながら大爆笑されたらしい。
嫁もこの話が大好きで、私が話すのを聞いて大爆笑していた。

何でも貪欲に自分のものにするこの姿勢こそが、彼を社長たらしめている要因かもしれない。

みなさんも仕事でキャリアアップを目指すなら、まずは訳アリ品の長靴を買うところから始めてみてはいかがだろうか。
ユーキャンで資格を取るより有効な手段かもしれない。