【前編】友達10数人とキャンプ行った時の話

私には、ありがたいことに構ってくれる友達が結構いる。
しょっちゅう会うことはもう無いが、何かイベント事があると誘ってもらえる。

彼らとはたくさんの思い出があるが、その中でも語るに足るものをお話ししよう。

これは数年前、10数人でキャンプに行った時の話。

 

「長野県にキャンプいこーぜ!」

 

ある日、そんな話がjyoから浮上した。
当時はまだ大学生組が多く、時間を割ける奴がたくさんいたからだと思う。
いつもはシカトされがちなjyoの提案だが、みんな一度はやってみたいと思っていたのだろう。
すぐにLINEグループが作られ、メンバーが招集された。

 

計画は以下の通り。

 

車は3台、私となおT、Bショウくんのものを出す。
ちなみになおTは軽四、私とBショウくんは普通車。
本当はハイエースみたいなでかいやつが良かったが、誰ももっていないので人海戦術みたいな方法を取ることになった。

参加者は12人。単純に÷3したら一台あたり4人の人間が乗ることになる。
普通車に乗っている方なら分かってもらえると思うが、大人の男4人が普通車に乗リ込むとかなり狭い。
しかも荷物のこともあるし、最終的には私の車に5人の人間が乗り込むことになった。

長野県のキャンプ場までは、費用を浮かせるために下道を使って向かう。
道中休憩を挟むことも考慮して、到着までは約7〜8時間はかかるだろうと予測された。

クソ狭い車内に5人、最低7時間拘束。
この時点で「またそんな感じかよ」みたいな雰囲気がグループ内に漂っていた。

私たちが何かするときは、決まって細かいところのクオリティが整っていない。
たとえば、バーベキューしたら途中で肉が枯渇するし、火力を補う為に灯油とか使ったりする。
そして灯油くさくなった肉を食べながらひたすら文句を言うのだ。

私はこの時点で、「色んなことが起こりそうやな」と直感していた。

 

出発

何はともあれ最低限の準備は整った。
昼前には到着の予定だったので、出発は深夜3時になった。
地元のコンビニの前で記念撮影とかした後、車に乗り込む。

私の車に乗ったのは、

運転手金丸、企画者のjyo、ドSのTAKU、イケメンのアメリカ、メカ好きのギッシー
の計5人。

比較的おとなしい奴ばっかりだったので、とりあえずは大丈夫だろうと思った。
一点のみ、うるせーぐらい喋るjyoが助手席に乗ってきたので、それだけ唯一不安だったが、「運転嫌になったら代わってやる」と言ってくれたので無下にするわけにもいかなかった。

ちなみに出発前のわずかな間に、jyoを誰の車に乗せるかで若干モメたりしていた。
お喋りとは罪なもんである。

Bショウの車には、

運転手BショウYすけ、脳筋の醤油の3人。

なおTの車には、

運転手なおT、チャラ男のアキラ、いつもソナポケ聴いてるシュガー、女好きのの4人。

以上の構成で地元に別れを告げ、長い旅路へとハンドルをきった。

 

事故

約1時間ほど車を走らせると、クッソ暗い片側一車線の山道に入った。
トンネルが続くし、こんな時間なのに対向車もそこそこ来る。
私は隣で運転してくれているjyoを気遣いながら、途方も無い闇ばっか見つめていた。暇だった。

この時、先頭は私、後ろになおT、最後尾にBショウという並びで走っていた。

闇を見るのも飽きたので寝ることにした私は、シートベルトに頭を上手い具合にもたれさせて、腕組みして目を瞑った。
正直jyoの運転は鬼荒いので寝心地はクソだったが、それでも半分意地で寝た。

感覚にして30分後くらいだろうか。
なんか唐突に目が覚めた私は、今トンネル内を走っている事だけを確認してまた目を瞑った。

その時だった。

 

 

 

 

「えっ?!オイ!」

 

 

 

 

jyoがそう言うや否や、けたたましいクラクションの音がトンネル内に響き渡った。

驚いて前に目をやると、Bショウの車が猛スピードで反対車線を走っており、すぐ目の前には大型トラックが迫ってきていた。

 

 

 

 

「友達が死んだ」

「本当に死んだ」

「さよなら」

 

 

 

 

短い間に、それらすべての言葉が脳裏をかすめた。
そして、すべてがスローモーションに見えた。

jyoは急いでブレーキをかけ、Bショウの車は滑り込むようにして私の車の前に入った。

間一髪、助かったのだ。

 

「あいつ頭おかしいんじゃね?!!トンネル内片側一車線で、しかもカーブやぞ!!?死にたいんか!?!!?」

 

jyoがまくし立てるように言うのを見て、私は半分夢でも見てるような気持ちになった。

 

 

その後、休憩のためコンビニに立ち寄った私たちは、すぐにBショウの元へ駆け寄った。

 

「おまえ、もう少しで死ぬ所やったぞ!」

「いや、jyoを信じてた。ブレーキかけてくれるって思ってた」

「人のことナメとる?」

 

反省どころか半ば武勇伝化させようとしているBショウを見て心底呆れた私は、彼の車に同乗していたYすけの元へ行った。

 

「災難やったな」

「あいつマジ、あっぶねぇし…」

「どんなやった?」

「いや、いきなり「抜かすわ」とか言い出して、なおTの車抜いたはいいけど、その後カーブからトラック出てくっしな。マジ死んだと思った」
「んで、避けた後「ヨッシャ神引きィ」とか言ってな」

「神引き?」

※神引き (かみびき)… ソシャゲのガチャで良い当たりを引くこと

 

一歩間違えば大惨事だったのに「神引き」??
自分で蒔いた種のクセに、アイツは一体何を引いたというのか?

 

ナメとる?

 

それからこのキャンプ中、Bショウは「神引き」と呼ばれるようになった。

 

ちなみに同乗していた醤油はその時後部座席で爆睡していたらしい。
なんでもYすけの話だと、山道に入ってから唐突に「はぁあ~~~~ありがたぁ〜~~~〜くなってきた~~…」と言い残し昏倒したそうだ。

 

頭ヤバい奴しかいねーのかよここ。

 

その後、jyoが「やべぇ買ったテント家に忘った」とか言い出し、車内はお通夜みたいなムードに包まれた。

 

KOMERI

その後は特に危ないこともなく長野県入りしたが、いろいろ足りないものがあることが判明したため、休憩も兼ねてKOMERIに寄ることになった。
しかし、朝の6時そこらに店が空いているわけもなく、私たちは2時間ほど時間を潰さなければいけなかった。

ここで突然、jyoが「おれ寝るわ」とか言って車のトランクを開け、すぐそばにテントを設営しはじめた。番狂わせとはまさにこのことである。
TAKUはじめ私たちはドン引きしたし、シュガーに至っては「おまえなんなん?」とか言って普通にキレていた。

 

時間を持て余した私とTAKUは、特に眠くもなかったのでBショウこと「神引き」の車に乗り込んで暇をつぶすことにした。

 

運転手のBショウは後部座席で大口を開けたままいびきをかいて寝ており、その姿がメチャクチャ滑稽だったので爆笑しながら写真に収めまくった。
しかしなぜかこのタイミングでTAKUの持ってきたデジカメが故障し、心霊写真みたいなのしか撮れなくなってしまった。それでもまた爆笑した。
私とTAKUは夜通し長距離を移動したためテンションが変になって笑いのツボがやたら浅くなっており、しょーもないことで大爆笑するようになっていたのだ。

Bショウの車内はカオスの一言で、時期でもないのに門松がダッシュボードに3つほど並んでいたり、ドンキとかで売ってそうなやっすいダッサいスピーカーを無理やりガムテで固定してあったりと、落ち着きに欠けていた。

ステレオとつながっている画面の割れたボロボロのiPodにはアニソンがクソほど入れてあり、ドリンクホルダーは何が気に食わなかったのか丸めたガムテで塞がれ、その上から後付けのドリンクホルダーが設置されていた。

これなら下手なセキュリティを施すよりよっぽど車上荒らしを防止できるだろう。

 

しばらくしてKOMERIが開店したので必要なものを買い、車を走らせること数分、キャンプのグループラインに、アキラ、なおT、茸がパチンコ屋の前でピースサインしている写真が載せられた。
私たちがKOMERIで買い物とかしている間に行っていたらしい。

jyoは普通にキレてたし、TAKUは「こいつら終わっとんな」と言いながら爆笑していた。

 

…後編へ続く