眼鏡の内側

今日は馬鹿みたいに蒸し暑かった。太陽の熱がというより、むしろ、地熱が惨い。めらめらと足から昇ってくる熱気が内臓に染みてきて、喘ぐしかなくなる。つらい。

真夏になるといつも思い出すのが、小学生の頃に行った県営のプール。頭の上からバケツに入った日光をブチまけられたみたいな暴力的な暑さで、塗料で潰されたアスファルトはマジで歩けないくらい暑くて、それなのにプールの水温はびっくりするほど低くて。
一番広いプールの中央には氷山とペンギンのオブジェがあって、そこから噴き出している水の冷たさといったらなかった。冷たいプールに浸かっていると、自分の心臓がやけにはっきり動いているのが分かった。肺は冷えた空気をたっぷり吸えて嬉しそうに膨らんでいたのもよく覚えている。こんなに暑い日が続くと、いよいよ恋しくなってくるな。

最近、奥さんの体調が芳しくないのが気にかかる。頭痛、肩こり、腰痛、全身倦怠感、異常な眠気。これらすべては別個の症状ではなくて、たとえば頭痛は肩こりと、腰痛は全身倦怠感と、全身倦怠感は異常な眠気とリンクしている。見ていてとても辛いので何とかしてあげたいが、かといって素人がマッサージしたんじゃ効果なんてたかが知れている。むしろ悪化するかもしれない。
整体に行ってきなと勧めているが、今ちょうど歯医者にも通っているので精神的な負担がでかいらしい。どうすれば彼女の苦痛を取り除いてやれるのか。

数年前、自分が結婚するなんて考えもしなかった時に比べて、確実に忙しくなっている。ほんの一時間、たった一時間自由な時間を確保するのにも骨を折る。
そうした生活を3年間続けていたら、奥さんは体がガタガタに、僕は常に何かをなおざりにしているような気持ちがするようになってしまった。
自分で働いて稼いだお金なのに、使うのが恐ろしい。月々に掛かる出費がデカすぎて、給料のほとんどが支払いに消える。別に二人とも浪費しているわけではないのに。地方住まいの25歳にしては、まだけっこうもらってるほうだというのに。貯金は0円。できるわけないだろバーカ!!

今更遅いが、やはり後悔せずにはいられない。あの時なんで僕はもっとまじめにやれなかったのか、なぜ自意識なんかにかまけてしまったのか、なぜ、どうして、もっと普通に、当たり前のことを当たり前にすることができなかったのか。すべてはもう遅い。今生きてるこれが、数年間分の答えである。

僕は奥さんを働かせたくない。たとえ僕が365日毎日働くことになっても構わない。たとえぶっ倒れても、人ってそう簡単に死んだりしないし、保険とかもちゃんとかけてあるから入院したらお金もらえるし。別に悪いことは起こらない。生きてさえいればどうにでもなることだ。

父からの遺伝で、普段は辛い顔を一切見せない僕だけど、たまに回想なんかしてしまうと気分が落ち込む。僕がもっと賢ければ、もっともっと強くてかっこよければ、奥さんだってもっと楽に生きられたかもしれないのに。

畜生。

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