友達

8/19

TAKUが金沢に帰ってきていたので、2人して銭湯に行った。
彼と会うのはたぶん1年ぶりくらいで、久々に会う友達と顔を合わせると緊張する僕は変だろうか。だいぶ前から変かもしれない。
「元気け?」「相変わらず。」というやり取りの後、車を走らせる。会話は盛り上がったが、何を話したかは覚えていない。唯一覚えているのは、TAKUが今年の2月くらいに彼女と別れたという話だけ。「メッチャ自由で最高」と言っていた。笑った。
決別に至る発端は曖昧としていたらしいが(僕としては曖昧な方が人間味があって好きだ)、結婚とかそういうゴールを考えたときにダルくなったらしい。なんともTAKUらしい、理性による解決である。

銭湯に着き、湯壺に半身を埋めながら語る。僕はこの時間がなんとも好きである。たとえどれだけ高尚な思想をひけらかそうとも、「でもおまえチンチン出てんじゃん」の一言でカタがついてしまう幸福な空間。肚を割って話せる友人。どこまでも対等な関係。25歳の男、2人。

「最近本なによんでる?」
「ドストエフスキーとかツルゲーネフとかロシア文学かな」
「チェーホフは?」
「ちょっと前に短篇集買ったけど、なんか訳がクソでほとんど手付かず」
「おれも短篇集買ったけど途中であきらめた」
「いっしょかよ(笑)」

友達と話していると、ゆるやかなせめぎ合いのようなものが徐々に露呈していくので緊張感があって面白い。立派に成人した大人の男が2人、教養や話術を駆使して相手より優位に立とうとする。たとえ親友であってもこうした獣くさい本能が垣間見えるのは正直愛しいし、しかもそういうくだらんマウントを取り合ったところで2人ともチンチン丸出しだから元も子も無い。だから風呂での語り合いは素晴らしい。会話による生産性を支えるのは裸の2人。

8/20

遊び足りなかったので、仕事終わりYすけとTAKUとなおTを誘って麻雀した。会社の自動卓を使って。
なおTと会うのも1年ぶりくらいで、ちょっと太った以外は変わってなかった。彼の純粋さと、それとセットの白痴さはいつも僕の心を洗ってくれる。素直でなければ、無知でなければ見えないものというのはなんだかあるような気がする。いや、これは自分自身に対する言い訳だろうか。

「面接ってさ何見られてるんだろう」
「やっぱり無難にそつなく嘘つける人の方が、役に立つのかな」

なおTはそんなことをTAKUに相談していた。僕は運転しながら、後部座席で繰り広げられるその会話に聞き耳を立てる。
なおTは今無職なので働き口を探していて、先日面接を受けた際に思い切りウソを喋ったのが腑に落ちなかったらしい。なんともなおTらしい。
でも僕は悲しかった。彼から幼児性が失われて、「そつない大人」になってしまうのが。もちろん勝手に彼のイメージを作り上げて一人で幻滅しているにすぎないが、なんだか社会の縮図をそこに見た気がして。

麻雀では3,500円ほど勝たせてもらった。ふん、もう昔のような雑魚の僕はいないのだよ。勉強したからな。

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