レオパレス

人は誰しも、発狂する事がある。
とても耐えられなくなって、逃げ出したくなって、気が狂ってしまう。
私にもそんな時期があった。

否、私”たち”にも、だ。

今日は時間を遡り、中学生時代の私たちの話をしよう。

 

 

時は中3。
最上学年になったこともあって、私たちは荒れていた。
身体は中3でも、頭の中にはポテサラが詰められていたので、ロクな遊び方をしていなかった。
たとえば以下のような。

・ジャンケンで負けた順に腹ばいになり、上に覆いかぶさっていくだけの遊び
最高10人くらいが乗る上に、5段目くらいの奴が1番下の奴をくすぐったりするので、下手すりゃマジで死ぬ。
一人頭平均50キロで計算しても、1番下の奴は450キロの荷重とくすぐりに耐えなければいけない。
アホやろこれ。

 

・いきなり特定の人をウ★コもらし認定して、そいつから逃げ回る
下手しなくてもイジメに近いし、第一追いかけてくる方も大概だと思う。

 

・フローリング床の上で上履きを脱ぎ、靴下で滑りながら「マリカー」
やってる間はクソ楽しかったが、思い返してみると情けない。
これでいいのか。これでよかったのか。
良かったと言うしかないこの人生は何なのか。

 

健全な肉体に思春期特有の狂気を詰め込んだ私たちは、次から次へと新しい遊びを開発した。
その中で最も猟奇的だったのが、“レオパレス”だ。

掘り下げて話そう。

 

私たちの活動時間は主に昼休み。
40分の自由時間が与えられ、その間は好きなことをして遊んで良い。
私たちはそれこそ飲むような勢いで給食を平らげ、一分一秒でも早く教室を飛び出すよう心掛けていた。
後述するが、この”レオパレス”は欠員が出たり遅刻が出たりすると多大なる迷惑をかけることになるのだ。

 

ボロボロの内ばきをリノリウムの床に擦り付けながら”ホール”に向かう。
この”ホール”は用途が完全に謎で、廊下と直に隣接するようにして出来ている。
仕切りも何もなく、床はフローリング、デカい丸柱が2本、それと”シェルター”と呼ばれる3立方メートルほどの物置スペースがあるだけだった。
本当にただそれだけの空間だったので、私たち以外に使う人は皆無だった。
いわゆるリア充の面々は教室で恋話に華を咲かせたり、体育館でバスケに講じていたりしたからだ。

 

ではこのレオパレスが如何なる遊びなのか、図解も交えながら出来るだけ分かりやすく説明したいと思う。

 

1.入居

まず、9人の人間を集める。
なんとなく開始の雰囲気が漂ってきたら、皆ガンダッシュで”シェルター”に向かう。

 

reoparesu
いらすとやに頼りまくった挙句意味不明になった図

 

このようにして、早いもの順で4人がポジショニングを行う。
この一連の流れを”入居”と言い、そこから転じて”レオパレス”という名前が付いた。
目をランランとぎらつかせながら入居するその様はまさに”夢中でがんばる君へ、エールを”と言えよう。

 

2.ジャンケン

次に、入居できずにあぶれた5人は、シェルター外でジャンケンを行う。
そして勝った人から順番に、腰をやべーほど曲げて無理やり入居する。

 

reoparesu-goninme
なんじゃこの図

 

こんな感じで。

しかし、このジャンケンには思わぬ罠、もとい鉄則がある。
すなわち、”5人目は死ぬ”である。

5人目、つまり最初にジャンケンに勝利した人は必然的に4人の入居者たちの上に乗っかることになるのだが、注意しなければ死を招く。
楽なスタイルで「よっこらしょ」と入居しようものなら、文字通り四方から8本の腕が伸びてきて、ガッチリと身体を拘束される。
そして6人目の入居者によって、男の最も尊い場所を執拗に攻撃されるのだ。
逃げようにも7人目の入居者がその道を塞ぐため、5人目は軽い拷問を受けることになる。

何やってんだ俺たち。

 

3.引っ越し

5人目の入居者に対する拷問が一通り済んだら、なんとなくの雰囲気で皆一斉にシェルターから脱出する。
そしてまたガンダッシュで向かい側にあるシェルターに入居するのだ。

ちなみにこの流れには欠陥がある。
すなわち、5人目の人間が全く報われないということ。
拷問を受けてゲッソリしている中、引っ越しで最初の入居者になれる強者は殆どいない。
つまり一度5人目になったら、連続して5人目になる可能性が非常に高いということだ。

これが、”5人目は死ぬ”と言われる所以である。

 

4.ルール

一応レオパレスにもルールはある。
主に6人目の入居者に対して適用されるが、

・ファール
・テクニカルファール

の2つがある。

5人目の入居者に対して拷問を行う際、ズボンのチャックを降ろさずに間接的にシンボルを攻撃することをファール。
チャックを降ろし、シンボルを露わにした上で攻撃を加えることをテクニカルファールという。

だから何だという感じだが、テクニカルファールに関してはあまりにも暴力的な手口を用いた場合、一発退場が言い渡される。

とは言え、今までこのルールが適用されたことは一回しか無い為、あってないようなものである。

 

・被害に遭われた方々

このように、レオパレスは非常に危険な遊びである。
みんなテンションがエグいことになっているので、手加減を知らない。
私も参加する際は必ず眼鏡を外していたほどだ。
そのため、何人か被害に遭われた方々が存在する。

ちょっとご紹介しよう。

 

・プロマくん
何故レオパレスに参加していたのか、むしろ何故私たちと一緒に居たか分からない、完全無欠の聖人。
頭もズバ抜けて良く、さも当然の流れで国立大学の院まで進んだ人。
羽生結弦に似ているため、今頃ぜってーヤリ○ン。

彼ははじめの”入居”で4人のうちの1人に入れたは良いが、ドSのTAKUによって乱暴にシェルター外に引きずり出され、その際に腰を強打した。
しかし誰も手当しようとせず、むしろ「プロマは腰痛持ち」とか言って煽られていた。

 

・茸
頭も良くイケメンだが、茸みたいな髪型と独特すぎる笑い方のため、周りからは鬼のようにイジられている不遇な奴。
当時はそうでも無かったが、現在は死ぬほどの女好き。

彼はレオパレス参加したての頃、何も知らずに5人目になり、何も知らないまま普通に入居してしまった。
その結果、身体をガッチリとホールドされ、入居者初となるテクニカルファールを受けてしまった。
さらにテンション爆上がりした他の入居者によってシンボルを握りつぶされ絶叫。
これにより主犯格のネンテくんはレオパレスから永久追放される羽目になった。

 

・はっちゃん
教育実習の先生。小柄な女性で、可愛らしくもどこかミステリアスでエロい雰囲気を持った人。
勿論レオパレスに参加はしていないが、暴れまくる私たちを注意した際にBショウから「先生もやる?あっダメか!失神しちまうもんな!トゥッハッハッハッ!!!」というメガセクハラ発言を受けてしまう。
その後はっちゃんは「なにいってんの…///」と顔を赤らめてしまい、それがBショウの変態なツボを刺激したらしく以降あらゆる妄想の対象となってしまった。
なんとも不遇な人である。良き教師になっていることを心から願う。

 

・おわりに

レオパレスは、私たちの間では半ば伝説として語り継がれている。
あの異常なまでの一体感、逸れた青春、かいた汗の一滴。
すべてが私たちの大切な思い出で、だからこそしょーもない。
頭がおかしいと言われても構わないし、時間の無駄遣いと言われても構わない。

 

だって、もう、巻き返しは不可能な人生だから。
狂気こそ我が青春。