林田球 – 『ドロヘドロ』

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いつ、どんな経緯で読み始めたのかもう覚えてないが、林田球作「ドロヘドロ」を結構前に読み終えたのでその感想を。

あらすじ:
魔法によって顔面をカイマントカゲそっくりに変えられた男「カイマン」が、自分の記憶と顔を取り戻すため魔法使いたちの住む世界へと旅に出るダーク・ファンタジー作品。

作者の林田球曰く、ドロヘドロは「歌詞がメチャクチャダークで凶暴なのにメロディーは踊りたくなるくらい楽しい曲」から着想を得て描いたものらしい。
絵柄は好みが分かれそうだけど、僕は結構好きだと思った。林田球さんは女性の方らしく(滅多にメディア露出しない)、確かに女キャラとかはなんとなく少女漫画チックにも見える。
清潔なコマが一つもなく、だいたい全編にわたってみんな服が血とかドロとかで汚れている。なぜか新品の服を着ていても裾とかが汚れている。こういうのは世界観を影から引き立たせる役割を持っているんだろうか。
登場するキャラクターはみんな個性的で(所謂「主人公系」「やれやれ系」「清楚系」とかカテゴリー別に分けられてる感じでもなく、雑多としている)、このへんは「こういうの描くのが好きなんだろうなぁ」という気がした。
勢力図がしっかりとしているのはもちろん、どの勢力にも属さないモブみてーなキャラでもしっかりと個性が出ているのはすごいと思った。

反面、ストーリーの方は、少し頂けないなという感じがした。
一応、最終的な目標は「カイマンが顔と記憶を取り戻すこと」なんだけど、色々あって混沌としていく。
混沌とするのはまだいい。というか、はじめからそういう意図があったのは読んでいてすぐに気付いた。
でも、なんというか芯が定まってないまま、見切り発車で始めた感が否めなくて、混沌としているというよりはむしろ「行き当たりばったり」なイメージが強かった。事実、最終巻の巻末で作者自ら「途中で飽きちゃった」と記してたからあながち間違いではないと思う。一回19巻で終わらせると公言したけどそれも守れなかったし。
伏線も張ったぶんはきちんと回収してたけど、その回収の仕方も雑というか、しゃーなしやってる感が否めなかった。
後半の方になると無駄ゴマみたいのも増えてくるし、一枚絵の連続みたいなところもあって、漫画の持つ良さが活かされてないんじゃないかとちょっと不安になった。巻数が増えるにつれページ数もどんどん増していったし。最終巻なんて1巻の2.5倍くらいの厚みあったぞ。

ちなみに林田球さんは一枚絵を描くとクソ上手で、僕の大好きなゲーム「BloodBorne」海外版コミックの日本語翻訳版表紙を担当してたんだけどすごく良かった。

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ドロヘドロの感想は、総括すると「惜しい」だった。着想も良いし、絵柄も世界観も良いのに、ストーリーがちゃんとしてないせいで「なんかグロくてきたねー漫画」みたいな印象になってしまう。ストーリーって絵柄や世界観と同じくらい重要だと思うし。
現在、林田球さんは「大ダーク」という新連載を開始したそうなので、また単行本が出たら買おうかなと思う。

大ダーク

あらすじから漂うアングラ感とB級感がたまんね~。