DOSYABURI

七夕については一切言及しない。

朝から大雨だった。気になったので、川の側を通って出勤する。氾濫するには程遠い水位だったので安心した。濁流がゴウゴウと音を立てて流れていく様は、同じ水でも静謐なそれとは打って変わって恐ろしい。曇り空の下に、カフェオレみたいな色の濁流はよく似合う。

8時半から仕事を初めて、10時の休憩を抜き11時に現場を出て、繁華街にある眼鏡屋さんに連れて行ってもらった。感じが良いというよりは、とにかく「しっかりしてる」印象を受けた。
初め行った時は、ハフマンスの独特な形状に頭を抱え「これはう~ん、デモレンズの外し方が分からない」「玉形無い?」とちょっと不安げにしていたが、「とりあえず調べてみますね」と言ってくれたので一度退店した。それから約5分後、「やり方分かりました~」と電話がかかってきた。対応が早すぎる。きっと眼鏡が、というよりは、眼鏡をいじるのが大好きなんだろうな、と思った。
mzfkさんは応援で来てくれている職人さん(以下ポロ作さん)と一緒にH&Mで買い物をしていたそうで、ポロ作さんの服装をトータルコーディネートしてあげていた。彼はちょっと気恥ずかしそうにH&Mの紙袋を提げていた。言っちゃ悪いが周りの雰囲気から明らかに浮いていた。
ちょっとポロ作さんについて掘り下げて書いておくと、彼は所謂「世間知らず」で、世の中のシステムに関してとことん無知。齢41(mzfkさんとタメ)であるにも関わらず、服屋にすらまともに入ったことが無い。女性経験は20数年前に行ったピンサロが最後で、つまり素人童貞。そういう人である。
ただ、彼は見たところ厭世家でもないし、拗ねたところもないから、これからでも充足した人生を送れると思う。手ほどきが必要ではあるが。「拗ねていないこと」の重要性を、僕は彼の姿から学んだ。

昼飯は金沢で一番有名なラーメン屋さんに三度目のアタックをしたが、やはり満員御礼で入れず断念した。いくら時間帯が昼どきだったからといって、ド平日の雨の日にあんなに並ぶなんて、よっぽど美味いのか。mzfkさんは「残念やけどまた今度な」と言っていた。御意。想定内だからOKOK。
断念した後、工業大学の近辺にあるラーメン屋さんに入った。さすが学生が多い。鶏白湯はうまい。
店を出てから、mzfkさんの計らいでもう一度眼鏡屋に寄って眼鏡を預けてきた。丁寧に調整をしてもらい、レンズを注文して店を出た。「きちんと作りたいので日数を貰います」と言える真の職人魂、見習いたい。会社の示すノルマに飼いならされて、必要でもないのに無駄なオプションをお客さんに売りつけていたかつての眼鏡屋とは大違いだ。ふん。馬鹿が。いつの時代も、本物のみが淘汰を免れるのだという事がなぜ分からないのか。10、20年後、ジンズやゾフの看板なんてもう無いかもな。無くて結構だけど。

人の恋愛、その始まりと終わりを目撃した。100から100を知るよりも、10から100を知りたい男である。人を好きになることはきっと苦みの連続である。いろいろあったが、僕は今奥さんと非常に良好な関係を築けているから、そういうことを考えてみる機会がこれまでに無かった。まだ言葉は出てこないが、僕で足りるなら永遠に赦したいと思う。僕で足りるなら、だけど。