何度目かの土曜日

噛み応えもなけりゃ感動もなく毎日を終えている。街から鹵獲できるものが何もない。幸い、今日は天気が大暴れしていたのでそれだけはちょっと楽しかった。止んだと思ったらすぐまた土砂降りになる、逆寸止めプレイみたいな日だった。逆寸止めプレイって何?

このところ本ばかり読んでいる。今週だけでもう4冊。古本屋で買っておいてずっとほったらかしだった「グリーン・マイル」の1・2と、「ライ麦畑でつかまえて」と、「超芸術トマソン」。どれもこれも今の身の丈に合っていて最高に面白い。由紀夫ちゃんなんかもやっぱり面白いけど、あれはあれでなかなか気を張るので、ごはんでいうところの主食に持ってくる感じになる。だからたくさんは読めない。グリーン・マイルはテンポの良さ的にもコーラ飲んでる感じだし、ライ麦畑はこれは風呂上りにアイスクリームとコーヒーをやっつけてる感じ。で、超芸術トマソン、これは最高に面白かった。感想は定例に沿って10月を終えてから書こうと思うが、ともかく面白かった。こういう、理屈で図ろうとすることがそもそもナンセンスとでも言いたげな、立ち位置のよくわからんアホみたいな思想、研究、は好きだ。著者の赤瀬川源平という人は、この本を読むまでは名前もまったく聞いたこともなかったが、プロフィールによれば前衛芸術家をやっていて芥川賞を受賞したこともあるんだそうだ。けど、そもそもが千円札を印刷して芸術作品として発表して、なんかいろいろ運悪くポリスの厄介になるという、チャーミングなのか単なるアホなのかよくわからん人だから、著書の賛否がバッツリ割れてしまうのも無理はないと思う。2014年10月26日没。ん?明後日が命日か。すごい偶然もあったもんだ。

読書以外の話を。FUJIの業務用100が切れて、ACROS100Ⅱが一本あるきりになっちまったので新しくフィルムを買った。Lomographyとかなんとか、NEGATIVE400、とかなんとか。Amazonのレビューだけを頼りにして買った。少々独特の映りが楽しめるらしい。具体的に言うと、コントラストが露骨なんだそうだ。作例をいくつか見たが、黄色をまぶしたような発色はKodakっぽい。そこにシアンのかぶりというべきか、なんとなく独特な青みが乗っている感じがあって、全体的にレトロ色が強い。明日は晴れ、公園に出かける用事もできたので、愛用のM-1をバカみたいに首からぶら下げていろいろ撮って回ろうと思う。

そう、で、写真か。写真のこと。さっきも書いた「超芸術トマソン」はかなり厚い文庫本で、500ページ近くはある。でもその半分くらいが写真の掲載に使われているので、純粋な活字だけで言えば300ページぶんくらいのもの。いやこれは違うか、言いたいのは活字量と写真量の配分のことじゃなくて、そこに映っていた写真。どれもこれも、というのはいささか気が引けるけれども、少なくとも、現代のクソみたいなインスタを眺めてるよりはよっぽどきれいな写真がたくさん載っていた。ペラッペラの安紙の、粒子も情けないモノクロでしかないくせに。でも感動した。自分が撮りたいものは実はそれはトマソンだったとまで言うつもりはないけれど、一つの指標としてあれは良かったと思う。一番好きなのは、塀に向かって何の疑問も持たずにまっすぐ突き刺さっている、わずか3段ばかりの純粋階段を写した写真。あれは、美しい。写真は定例の読書感想の際に載せる。というか、超芸術トマソンについては、もうそれだけで独立した記事を書いてもいいんじゃないかな……付箋まみれになってるし。