だんごむしの夢

雨。みぞれ。雪。雨。あられ。今日の天気はそういう風に推移した。
帰宅してから妻とビューテフル・マインドを見た。妻に感想を尋ねたら、「数学はきらい」とだけ言っておしまいだった。おれは彼女の感性を尊敬している。愚直で素直な点に於いて。

もしかしたらおれの人生は、湿った石の下で微睡むだんごむしの見ている夢かもしれない。おれが死んで夢が醒めたら、暗くて冷たい石の下で、ちっぽけなだんごむしは何を思うだろう。
捨てたいと思っていた過去は、きっと報われる日がやってくる。そう信じて生活してきた。今がとても苦しくても、いつかそれを丸ごと肯定できる日がやってくる。おれたちはその日を信じて生きるしかないのだ。

夢から覚めただんごむしのおれが、もしこの人生の記憶のその断片でも持っているとしたら、父だんごむしにこう言おう。
人生、思ってるほど良いもんでもなかったし、思ってるほど悪いもんでもなかったよ、と。