雪日

そんな言葉があるかは知らない。でも今日は雪の日だった。

12/19(土)

会社の忘年会に出席。社長、Y、O先輩、おれの四人。アダルト組(40代以上)と飲むと疲れるという社長の意向。理由が本当にそれだけだったのか、社のこれからを担う若い奴らに一発気合を入れておこうとか、そういう別の意図があったのかどうかは分からないれども、まあとにかく若年層+社長だけのメンバーで飲んだ。

一件目は繁華街にある昔ながらの焼肉店。サンチュを巻いて食べるロースとレモンだれで頂くタンが旨かった。それとホホ肉。ホホ肉ってみんなあんまり食べたことないらしいけど、おれは焼肉の中で一番好きかもしれない。脂っこくないし。食感がエロいし。
「一度は胃が痛くなるまで仕事してみるべきだ」と社長が言って、O先輩が頷いていた。まだそんな価値観で生きてるんすか、という物憂い絶望と、まあまあそういう場面もあるでしょう、という受容というか諦念というか。とにかくおれはそういう精神論的なものを前出ししてくる人たちはあんまり信じてないし、第一そういう局面は必要に応じて自然と経験していくものだと思いますよ。無理にストレスをかけてやろう、それが教育だ、打たれて強くなれ、月月火水木金金、とかそういうのは、戦後間もない価値観ですよ。昔は大変だったとか、おれも努力してここまできたとか、そういうの、言わない方がカッコいいっすから。分かってる?知ってる?考えてる?

てなことを肉食いながら考えて、おかげで酒は進まなかった。ハイボールをグラスの7分目ほど飲んで水にシフト。2時間ぐらい食ってから二軒目へ。

うるせえ店は嫌だと言ってあったので、おれの意向を汲んだのかどうなのか、それなりに静かな店へ連れていかれた。きれいに着飾った女の子たちがたくさんいるようなところ。おれはああいう場所と一番遠い人間だから、できれば御免被りたかったけれどこれは忘年会。女の子の話に適当に相槌を打って社長の赤ら顔をKonicaで撮ったりして時間を過ごした。
最初に座ったゴリゴリのギャルみたいな子は苦手なタイプだった。良い子なんだろうけど、派手さが怖い。
二人目に座った人は30代くらいで、ほどよくやつれていて美人だった。無理に話そうともしてこない。おれはこういう人の方が自然でいられるから助かる。
「窪田正孝に似てるって言われない?」と言われて、「お世辞が下手っすよ」みたいなことを言った。おれが窪田正孝だったら、妻がどれほど喜んだか。似てない似てない。9%でもいいから似ててくれっていう祈りはあるけど。

22時30分頃解散。おれは本当はその後一人でシーシャ屋でも行って酔いを醒まそうかなと考えていたんだけれど、流れ的にO先輩と一緒に変える感じになったのでタクシーを捕まえて帰った。

ハイボール1杯で右目とこめかみの間から4センチほど上のところに鈍痛が居座っていた。肉を食いすぎたせいで吐き気も少々。おれはあったかい車内から冷え切った金沢の街を見遣って、けっこう、雪、積もったなあってぼんやり考えていた。そのほか思いを巡らせたことといえば、車が水たまりを切っていく音ってなんか落ち着くなあって、それだけだった。

帰宅してからはシャワーを浴びてそのまま就寝。

12/20(日)

深夜に頭痛で何度か起きたりする。11時起床。妻に頼まれていた通り、神棚の掃除をする。

神棚の配置メモ。手前のこれは離婚届。おれと妻の間に何かあったら、妻がこれを役所に持っていくという。こんなものを神棚に置いていいのかは甚だ疑問。縁起が悪いと思う。いつか隙を見て燃やしちまおうと思ってる。

外に出てみると雪が結構積もっていた。

いいねえ。街が冬の姿だ。これが金沢の本気だ。空がきれいな灰色だ。

用事を済ませた後、妻と愛犬を載せて白山は白峰まで車を走らせた。写真を撮りにいくために。ついでに右のウィンカーが切れていたので馴染みの車屋に880円払って修理。
スマホで写真は一枚も撮ってないので日記には載せられないが、積雪量がすごかった。50センチぐらいはあったかな。去年は雪が一ミリも積もらなかったので、久しぶりに大雪を見られたおれは嬉しかった。

カメラのほうでバシャバシャ写真を撮って17時過ぎ帰宅。

はい現像の結果。こうなることは分かっていた。M-1に詰めた方のフィルム、巻き上げが上手くいってなくて延々空シャッターを切ってた。巻き上げの感覚がやけに軽いのと、レバーがスカスカ回るのとでまあこうなるだろうなと。自分の感覚を信じてもっかいベロ出しして詰め直せば使えたけど、夢に賭けてしまった。もしかしたらもしかしたら、映っているかもしれないという方に賭けてしまった。そのせいでおれはフィルム一本を無駄にした。畜生!
ジャスピンの方に詰めたフィルムはきちんと現像できたので、まあまあなんとか。この失敗フィルムは大切にとっておいて教訓にしようと思う。あとなんとなくカッコイイので、自家現像の時に白衣の上から首に掛けて「街の現像屋さん現る」とかやろうと思う。誰に見せるでもなく。人生なんて、たいがい誰に見せるものでもないさ。

それでこの日は終わった。それで今これを書いている。