Nの25

カイロ三つ叩き込んで出社。先日の猛吹雪はなりを潜め、今日は太陽が顔をのぞかせていた。昼過ぎから本格的に晴れだし、街に残った雪に陽光が反射してまぶしかった。
仕事の方はまあまあ。人の気質と言うのはいろいろあるもので、まるで余裕を持つことを背徳と考えているかのように、次々悩みの種をディグりだしてくる人もいる。かと思えばおれのように、多少要領が悪くても、やるべきことさえキチンとやっていれば、あとは文句を言う奴の方が悪いというところまで開き直る奴もいる。そもそもやる気のない奴もいる。千差万別、魑魅魍魎。

アンナ・カレーニナをちびちび読んでいる。勿体ぶった心理描写や気取りすぎの比喩が少なく、少しずつ咀嚼するように読み進められるのが良い。そういえば、この小説には抽象的な概念があまり出てこない。出てきたとしてもそれは伏線で、どこかのタイミングで必ず、トルストイ自身の言葉によって裏付けがされている。おれは詩がまったく読めない人間だから、こういうのはありがたい。生きている人間が活字になって煩悶するさまを、咥え煙草で捲っていくおれ。サモワールでお湯沸かしてアチアチのコーヒー飲みてえ。冬はペチカの上で寝てえ。

爪を丸く切りそろえた。指の形がいびつだから、せめて爪だけは丸く整えておきたい。ヤスリもかけた。