ここではないどこか

人はなにゆえ日記などしたためるのでしょう。おのれの記憶のあたたかいうちに、自分の頭の中からそいつを引きずり出してきて、凡庸な言葉で置き換えたとして、まさか追憶が戻るはずも無いのだけれど。そう言いつつも筆を振るわざるを得ないのは、やはりおれも、凡庸な一人の人間であるからして。というわけでGWの振り返り。まあおおむねキャンプして終わった。

5/2(日)

何時に起床したかは失念した。8時くらいだったように思う。モソモソ準備を済ませて足りないものを買い出しに行き、11時くらいには金沢を出発した。目指すは福井県は大野市にある麻那姫湖、青少年旅行村。二泊三日で1,200円の破格。
13時過ぎに福井県入りし、Kと合流。天気は例によって雨。少々霧がかった山道をずいずい進んで行く。道中で落石の跡があったのが生々しかった。Kが道を間違えて迷うなどしたが、難なくキャンプ場に到着。設営に手こずり、諸々の準備が完了したのが14時くらいだったか。

焚火の様子。今回は写真を撮るのにスマホを一切使わなかった。35DCと間に合わせで調達したFUJI SUPERIA400の27枚撮りで撮った。モノクロが楽しすぎて、カラーの、それも一眼じゃない朴訥なレンジファインダーで撮る意味がほとほと分からんくなってきた。

薪をたたき割る。雨が降ってるのに焚火をするやつもないもんだ。でも焚火をしないとキャンプの醍醐味が一個減るというか、そもそも大量の薪をどうにかして処分しなきゃいけないっていう実際的な問題があったというか、まあとにかく、カッコンカッコンいい音鳴らしながら薪を割った。やけにそれっぽい薪割台はお義父さんから譲ってもらった桜の木。

雨が本格的に降ってきて、風も強くなってきた。ソリステをこれでもかっつーぐらい地面に叩きねじ込んで置いたのでテントやシェルターが飛ばされる恐れはなかったが、スカートの部分がビラビラしてうるさかったのでジュラルミンのペグで押さえておいた。そういう仕事をしていたらいつの間にか夕飯の時間。

妻のスマホで撮影。手前の砂肝がうちのご飯。奥の方に映ってるねぎまがKのご飯。「ほりにし」というアウトドアスパイスをアホほどかけてあるこれは非常に味が強くて、いかにも酒飲みが好みそうな塩分濃度に仕上がっていた。外でモノを食う時は、なんでも濃い味付けがうまいらしい。それでなくてもたくさん働いたので、濃い味付けはすこぶるありがたい。おれは酒が飲めないのでお茶で誤魔化していたが、妻とKはさもうまそうにビールをぐいぐいやっていた。

そんなこんなで夜。記憶が正しければ21時頃にはもう雨は降っておらず、風も凪ぎ、星もちらほら見えていた。そういうわけで念願の焚火。かたわらにコーヒー。あとは哲学的な話題とか、恋愛よりもちょっと込み入った愛の話とか、そういう夜に溶かすに適した何かしらの話題があればそれでパーフェクトだったんだろうけど、生憎と妻は超現実主義者のモラリスト、Kは夢想家とは程遠く、粛々と生を育んでいくようなそういう賢い草食動物みたいなやつだから、おれはひとりで焚火を見つめて自問自答をやっていた。何を自問してどう自答したかは覚えていない。夢見心地だったかと言われれば、そうかもしれない。そういう夜が過ぎて23時過ぎには就寝。それでこの日は終わった。

5/3(月)

7時過ぎ。おはようごぜえます。今日も今日とて同じようなアングルで一枚。妻とKはすでに起床していて、うちのシェルター内に集まっていた。外は快晴。おれは妻のこしらえてくれたホットサンドを4枚続けて食べ、暑いコーヒーを飲み、煙草を吸って体調を整えた。Kは一泊二日の予定だったのでそろそろとテントを畳み始め、おれたち夫婦はそれを見守った。Kは10時過ぎにチェックアウトしたので、物資を仕入れるためにおれも一緒に下山した。Kとコンビニで別れたのち、スーパーに寄って2リットルの水2本と着火剤を買う。ついでに本屋があったので「ロビンソン・クルーソー」を買ってキャンプ場に戻った。

ひたすら飯を食って、本を読んで、火を起こして、飯を食って、本を読んで、過ごした。キャンプ場には続々と人が入り込んできて、そのほとんどが関西圏からのお客だった。名古屋ナンバーが圧倒的に多かった。妻が言うには金沢ナンバーもそこそこいたらしいが、おれはついぞ見る機会に恵まれなかった。

この日はとにかくひたすら食いまくっていた気がする。どれだけ食べてもほんのちょっと食べ足りない気がして、それが昼から夜までずっと続いた。おれは途中でシャワーに入ったり、モノクロの方で写真を撮ったり、本を読んだり、昼寝をしてみたり、のんびりして過ごした。それでこの日は終わった。

5/4(火)

11時過ぎにキャンプ場を後にして、13時前に帰宅。とにかく体が焚火くさいので、二人してすぐに風呂に入った。この焚火臭は二日経った今でも消えない。PS5が店頭販売されていたという情報をキャンプしてる最中に先輩から受けていたので、確認のために100満ボルトを2軒ハシゴするも売っていなかった。それからキタムラにフィルムを現像に出して、パルムを迎えに妻の実家まで行き、帰ってきてからはひたすら道具を洗ったり仕舞ったりして過ごした。17時過ぎ、二人とも疲労がピークに達したので「一時間だけ」の名目のもと仮眠をとる。そしてこの日の記憶はここで終わっている。

5/5(水)

6時起床。は?いや本当に「は?」ってなった。寝たのが確か17時過ぎ、だったから、今は18時か?と思いきや、体調にお伺いをたててみると、「いやもっと寝てまっせ」って、これ、もしかして日またいでる?13時間くらいぶっ続けで寝た?マジ?そんなの学生時分以来なんやけど。ってな具合に、ちょっと混乱した頭でしばらく時計を見つめていた。体は軽いし頭もはっきりしてる、ああこれはやった、久方ぶりに一本寝をかました、って別に、誰に咎められるわけでもなく、モソモソ起き上がってパルムにご飯をあげた。この日は一日中蟄居して、用が無ければ外出しなかった。午前はひたすらモンハンとマイクラをやって、午後もひたすらマイクラとモンハンをやった。それでこの日は終わった。こうしておれのGWが終わった。