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風の強い日だった。頭の中で相棒のテーマソングを流し続けていたら一日が終わった。寒いのはとことん得意なおれでも、強風だけはなんだか苦手である。風が強くて良かったことなんてこれまでに一度も無い気がする。でも風が吹かなければ花々が受粉できなくなって、世界から美しさが減ると思うので風の悪口は言わない。雲の形や流れ方が印象的だった。

日曜日、母方の祖母に招かれて加賀まで行く予定を立てた。と言って別に珍しいことでもなんでもない。金沢から加賀までは高速を使えば一時間もかからないし、祖母は用事があると何かとおれを頼ってくれる。祖母の家は築100年に届きそうなほどのおんぼろで、それも崖の中腹のようなところに建っている。こんにちまで倒壊を免れていることがほとんど奇跡みたいなその家には小さな庭らしきものがあって、そこに大きな柿の木が成っている。その柿が実ったから取りにおいで、ということだった。なんだかんだ言って、孫の顔を見られるうちに見ておきたいのだろう、と思うし、おれも、見せられるうちに見せておきたい、と思う。妻は柿があまり好きではないと言っていたけど、一緒に着いてきてくれるらしい。祖母も喜ぶだろう。

宮本輝の『泥の河』という短編を読んでいる。少し前に映画を見て、これはいい話だなと思ったので、原作を探して買った。氏のデビュー作であり、太宰治賞受賞作らしい。今は同時収録されている『螢川』を読んでいる。これは芥川賞受賞作。気に入ったらほかの作品も読んでみようと思う。

あんまりまじめな文体でふつうのことばかり書いているとユーモア欠乏症に罹ってしまう気がするので、明日からはもう少しひねりを加えて文章を書くように心がけようと思う。