(空白)

Yが遅刻をしたこと以外、特筆すべきことの無い日だった。

『無題』に代わる何か良い題を考えているがカッコイイのが思いつかない。そもそも日記に題を付けるというのが良く分からないし、そもそも題を付けるという行為にどんな意味があるのかをしっかり考えてみたことが無い。よって、特に何もない日は(空白)という題で行こうかなと思う。題というか、ほとんどフォーマット。

次女の誕生日だった。24の歳になるらしい。つい最近まで10代だったような気がする。「たんおめ」だけ送っておいた。最近彼氏と別れたとかなんとか聞いた、気がする。おれたち家族はどこかよそよそしい。それぞれが別々の、それもきわめて他人に近い別々の人生を歩んでいる感じがする。

街の其処此処に映える貧相な紅葉が美しい。そのことに誰も気を配っていないことがことさら美しさに拍車をかけている。おれは何か偶然に目撃する、街の落魄とした部分ばかり好むらしい。発泡スチロールとか朽ちた箒の捨てられている、建物と建物の間の暗所とか。誰かが衝突事故を起こしてひしゃげたままのガードレールとか。おれの性癖の正誤はこの際問わないことにしても、生活そのものに対する積極性はとても大切だと思う。そうでなければ、すぐにでも奇跡を見落としてしまう。見落としてしまったら、それは二度と思い出せない。