(空白)

で、水曜である。宮本輝の『蛍川 / 泥の河』という短編を読み終えた。それぞれ太宰治賞と芥川賞を受賞している。こう書くといかにもおれが権威に弱い人間みたいに見えてしまうやばいやばい。良い話だった。文章も気に入った。

一年を終えると、あたかも冬こそすべてであったように思われる。土が残雪であり、水が残雪であり、草が残雪であり、さらに光までが残雪の余韻だった。春があっても、夏があっても、そこには絶えず冬の胞子がひそんでいて、この裏日本特有の香気を年中重く澱ませていた。 – 『蛍川』

これは富山を舞台にした話だけど、ここまで精緻に北陸の気候を捉えるかと唸った。そうそう、金沢も一年中どこかに冬の気配が置かれている。春や夏の尻にくっつくみたいにしていつまでも冬の名残が残っている。街とか土の下とかに。そして気まぐれにカンカン晴れの日は、何か違う土地に来た気すらする。

*** *** ***

昨日までの鬱々とした金沢らしい雨から一転、今日は柄杓の水で横っ面を張られるかのようなすさまじい雨と暴風だった。雨も風も冷たくて、いよいよ容赦しなくなってきたな、とか考えた。こうして短い秋が終わり、長い長い冬が始まる。横たわるように静謐な冬が始まる。もしくは、冬以外のすべての季節が死ぬ。

生と死が表裏一体であるのなら、生とは死の裏返しであり、死とは生の裏返し。死が生の結果であるのなら、生もまた死の結果、というところまで考えたので、この先誰かにお譲りします。イッパツぶっこ抜いたらそれほど重要な問題でもない気がしてきた。

*** *** ***

明日も雨らしい。いい加減ビニールとガムテープで雨風と格闘すんのは辟易してきた。明日はポッキーの日か。プリッツでも食うか。