uri gagarn、それは沐浴

uri gagarnは不思議だ。揺蕩うようなリズムの中に、光芒のようなリリックが散りばめられている。視界の端に確かに映る焦燥感と、不安と、生活。
この感情や考察が、いずれ風化してしまっても思い出せるように、プレイリストにある7曲すべての考察を記しておく。

***

1.Swim

タイトルが示す通り、これは「swim」。羊水の中を漂うようなメロディが、心を濡らす。ボーカルを務めるBunkyoこと佐藤くんのナードな歌声が、囁くように、でもどこか悲痛に、語りかけてくる。
BGMとして聞くのはあまりにも勿体ない名曲。目を閉じて、全身の力を抜いて聞きたい。

2.Gondola

歌詞が好き。「あゝずっとスマイルなの? 何を考えているの?」
前半と後半で曲調がガラリと一変する。
前半は、生活の雰囲気に溢れている。どこか静謐で、都市的で、愛とか希望とかそういうものとは一線を引いたある時点をトリミングしたかのごとく。
良く晴れた寒い日の朝、バスに揺られながら会社へ向かうあの人の顔とか、夏の昼下がり、陽炎の立つアスファルトの上を行くダンゴムシとか。それは本当に何でもない、生活、営み。

後半は、一気に音が重くなり、佐藤君の声もより悲痛になる。
「最低の日々より 落ちている」
uri gagarnにしては珍しく具体的なリリック。けれど、ニヒル。
ある時点から、前半の生活を回顧するような。
夜に、独りで、羽虫の舞う街灯の下とかで。酒でも片手に。
そうした気怠さに満ちている。

3.Wall

胃に響いてくるようなベースの音が印象的。それとは対照的な佐藤君の声が何とも言えず切ない。
「内面と対立 してる 安心の橋渡しを 蹴った」
具体性を避け、ちょっと引くぐらい抽象性にこだわるuri gagarnの美学が、ここに集結していると思う。
己との対峙。自分自身を俯瞰して、せせら笑ってやったり、慰めてやったりする人間の愛おしさと、憎らしさ。
ずっと存在感を失わないベースがメチャクチャかっこいい。

4.Owl

軽快なギターと手拍子と、頼もしいベースの音と、どこか間抜けな佐藤君の声。僕の大好きな曲の1つでもある。
MVは意味不明だが、見入ってしまう。これはある種精神世界の具現化みたいなもので、意味が分からないのは当然だし、また惹きこまれてしまうのも当然だと思う。
「おやすみ 最期の可能性 夢は 大抵落ちていく」
「エッセンス 取り合う」
「違う 違う」
夜通し語り明かすときの、言葉に出来ない空気感。それを音楽にしたら、きっとOwlになるのだろうと思う。
そしてニクいことに、この曲には夜明けが描かれていない。

5.Ijdb

マジでやることがない日曜日の午後、夏。詩にするでもないその生活の断片を、あえて詩的に昇華した一曲。
Ijdbというのは、「I just drink by」の略。ただ、呑んでる。
その気怠さを上手に捉えて音楽にしてしまうのがすごいし、感服する。ただ呑んでるだけが、こんなにかっこよくてどうすんだ?

6.Fly

都会の中で感じる焦燥感、不安。憤りと寂寞。
この曲には何度もシャウトが入る。諭すようなAメロ、Bメロ、そしてシャウト。
「霧の中を 指さして進む 口の中に 切り裂いて 喰われんぞ」
分からない奴等への警鐘のような、青春独特の苦々しさが感じられる。

7.Clearance

沐浴。警句のようでもあり、祝福のようでもあり。
聖歌のように、神秘的なリリックとメロディ。都会の人ごみの中にありながら、遠い異国の知らない森の、木々の隙間から光が零れているのを知っているような。それは想像力とかではなくて、産まれ落ちた人間の当然として。
「伝う 全身 投下 伝うな」
体に流れる血潮を感じ、それを慈しみ、生きてゆく人間を、祝福する一曲。

***

uri gagarnが表現するものは、実はなんだかよく分からない。いくらでも後付けができるように思えるし、逆にまったくできないようにも思える。それはuri gagarnの楽曲のすべてが、紛うことなき音楽である証拠でもある。音楽はただ音楽であって、メロディに思想を載せて歌うものでは、決してない。音楽はただ音楽、だからその意味はイメージは、聴く人の数だけあり、あるいは1つしかなく、もしかしたら全然無い。

uri gagarnは、僕にそれを教えてくれた。

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