【Netflix】Love, Death & Robots – レビュー

AAAABUQlw64qewpFPu_Szw5QeI1fDCwzjaTymnk1qd8pk9Y599mdBwtZD0GqY6H6AJI4Kg7LRuXHgyDqyOm-pA3zZIybrfPK

『ラブ、デス + ロボット』という、全18篇からなるショートアニメ作品群を、こないだの三連休使って全部見たので、印象に残ったやつを書き残しておく。ネタバレ注意。

・目撃者 “The Witness”

792515ace76614b4404f575245ca82ca-1024x608

香港のホテルに泊まっていた女は、偶然にも向かいのアパートで殺人を目撃してしまう。一方、犯人の男は彼女に見られたことに気づくが、同時に自分が殺した相手の顔がどういうわけか彼女とそっくりであることに気づき、彼女を追いかける。

ちょっとクセのある3DCGで描かれた作品。カメラワークが秀逸で、臨場感があってすこぶる良かった。絵のタッチも良い。やたらテカテカしたジャケットの質感とか、追う男と追われる女の息遣いとか、圧倒的な物質感でもって劣情を煽ってくるおっぱいとか。ストリップクラブにて、裸でクネクネ踊る女の陰毛までキチンと描いているのを見た時はなんか感動した。あぁ描くんだ、誤魔化さないんだ、みたいな。
街全体に立ち込める倦んだような気配と、それとは無関係に逼迫した環境に置かれている男女。このコントラストも良くて、グイグイ惹きこまれる没入感があった。
こういう作品の場合、ストーリーはあってないようなもんだけど、この作品においてはストーリーも絶妙な余韻を残してくるのでそれも良かった。こういう場合は考察とかせず、不思議な余韻に浸っておくだけで十分だと思う。

 

・ラッキー・サーティーン “Lucky 13”

93568df05725dac7e50b9b40e1473e69

乗っていた者全員が任務中に死亡するという不吉な航空機”ラッキー・サーティーン”のパイロットに任命された海兵隊員コルビーは、初めての任務で敵の砲火にさらされる事態に陥るも、機転を利かせた操縦で見事部隊を救い出すことに成功する。
その後の任務で、彼女は一人の死亡者も出すことなく戦場から部隊を帰還させ、ラッキー・サーティーンはいつしか幸運をもたらす航空機として扱われるようになった。

こちらはより実写寄りの3DCG作品。純粋な娯楽として愉しめるだけの迫力があって良かった。ドッグファイトの緊張感たるや。
映像も良かったけど、僕が心を惹かれたのはそのストーリーと構成。作中、何度か、ラッキー・サーティーンに搭載された記録用カメラ映像を通して、コルビーや他の隊員たちの会話が映し出される。つまり、この機体は人の会話を「聞いて」いたという風にとることができる。
ラッキー・サーティーンが撃墜され、撤退を余儀なくされたコルビーが、「ほんとうにごめん」と言いながら自爆装置を起動するシーンは、ポンコツベスパを愛する僕の感覚と通づるところがあって感動した。そうだ。機械はきっと生きてるんだぜ。
臨終を迎えたラッキー・サーティーンが、わざと自爆のタイミングを遅らせて、敵を最大限引き付けてから大爆発するシーンも感動した。産まれてから死ぬまで、愚直に職務を全うした、まことに素晴らしい機体と、それを愛した女性。いい話だった。

 

・ジーマ・ブルー “Zima Blue”

blue-1

青一色の壁画で名をはせた芸術家ジーマの招待を受けたジャーナリストのクレアは、彼の口から、今まで謎に覆われていた彼自身の生い立ちを聞かされる。
彼はかつて、ある一人の女性が作り出したプール清掃用のロボットだった。

ものすごくクセの強いタッチで描かれた作品。なんとなくアメコミチックにも見える。
絵柄もさることながら、とにかくこの作品はストーリーが最高だった。
謎に包まれた天才芸術家ジーマの最後の作品は、原始の再現。自身が作品の一部となり、そこで自己は完結する。僕はこの作品こそがまさしく「ラブ、デス + ロボット」ではないのかと思う。まず彼を作り出し、愛した女性がおり、愛から産まれ愛に生かされたジーマは真に生きて、やがて真の死を手にする。それは決して恐ろしいものでもなんでもなく、ただただ途方もない安寧だと僕は思う。真の死は生の反対などでは決してなく、これからも永遠に続いていく生、魂の一部でしかないと思う。
作品全体がひっそりとしていて、そのほとんどがジーマの独白。ゆっくりした語り口調はなんだか切なくて、優しくて、とにかく最高だと思った。
「ジーマ・ブルー」の意味が、ジーマの最古の記憶、つまり、清掃していたプールのタイルの色だったというのも涙を誘った。悟りの境地に達しても、人(ロボットだけど)は郷愁に胸を焦がすのだなぁ…。

全18篇中、駄作と言えるのは1篇だけで、どれもこれも佳作揃いで面白かった。
エログロ系、というと、そこに作品の主軸を置いてしまって、無理にエロくしたりグロくしたりしてしまいがちだけど、そこに頼らず、エログロをちゃんとしたエッセンスとして使ってるのが良かった。ドロヘドロみたいにほとんどのコマが血と臓物でグッチャグチャだったり、エロといっても勃起もんの濡れ場とかじゃなくてせいぜい女の子の裸が描かれていたりといった、「がんばったで賞」的残念さが無くてよかった。いやまぁドロヘドロはドロヘドロで面白いけど。
「ラブ、デス + ロボット」を簡単に翻訳するなら、「エロ、グロ + ロボット」。ロボット要素いらね~と見せかけて実はこれがSFを構成する重要な要素だったりして、アニメっていうのもなかなか奥が深いなぁと考えさせられた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA