fuyu

少し前、と言って先週の土日になるが、風邪を引いて寝込んでいた。不気味な頭痛だった。脳より5センチ離れたところの空間が鈍痛、という訳の分からない症状に見舞われ、土曜日は丸一日床に突っ伏していた。それは横臥と呼ぶにはあまりにそぞろで、踏み潰された蛙ぐらいの平たさになった気持ちで、炬燵に潜って、溶けて、頭を押さえて、唸っていた。しんどかった。
妻が用立ててくれた高級ヤクブツの頓服により、日曜の朝には熱も下がり、ほとんど明快に起床。唸るおれを厭わず、ポカリを飲ませたり冷えピタを貼ったりしてくれた妻には頭が上がらない。そうでなくても頭が上がらないというのにな。
土曜日は件のクソ新年会があったが、さすがにこれでは行けんと思い、父にその旨を電話したところ、想像を上回る気遣いを受けた。いざとなったらインドから届いたコロナの特効薬があるからワシを頼れとも言われた。その時は頭痛も相俟って何とも思わなかったが、健康を取り戻してから反芻してみると、なかなか訳の分からんことを言っている。まずなぜそんな珍薬を父が所持しているのか。出所はどこなのか。そもそも安全性は保証されているのか。されているのだとしたらなぜ一般に流通しないのか。いろいろ考えて、まぁおもろいからいいかと思った。おれはおもろいことにすこぶる寛容である。おもろくないことにすこぶる不寛容である。

さて金沢では雪が積もり、なかなか金沢らしい様相を呈している。冬は春夏秋のどれからも最も遠いところに位置する季節だとつくづく思う。夏みたいに広く、五月蝿く、すべての感覚が膨張して拡散し、どこまでも続いてゆくあの感じと対を成すかのようにして、冬は狭く鋭く、静かで、密度に満ちている。美しい季節だと思う。